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ご相談事例CASE

遺産分割協議は成立したのにほかの相続人が登記に非協力な場合

事例概要

共同相続人間で遺産分割協議が成立し、全員が押印したにもかかわらず一部の共同相続人が印鑑証明書の交付を拒んでいるため、各機関にて相続による名義変更などができず、遺産分割協議書の真否確認の訴えの勝訴判決をもって印鑑証明書に代えて相続手続きを行った事例

当事務所で行った内容

遠方に在住の共同相続人の1人が協議内容に納得して押印をしたにも関わらず、もともと疎遠なため印鑑証明書の交付を拒みその後音信不通になってしまいました。その共同相続人に対して、弁護士に依頼して遺産分割協議書の真否確認の訴えを提起しその勝訴判決により無事相続登記を完了することができました。

本事例のポイント

遺産分割協議が成立したあとは相続手続きをするだけの段階にもかかわらず、ほかの相続人が印鑑証明書の交付を拒み実質的には相続登記ができない場合があります。

遺産分割協議は当事者の合意で成立しますが、当事者間の考え違いを起こさないように普通や書面を作成し、お互いに実印を押印します。また、法務局や銀行など各種機関で名義変更手続きを行う際にも遺産分割協議書には実印の押印に併せて印鑑証明書の添付を求められます。

遺産分割協議書には押印をしてくれたにも関わらず、印鑑証明書の交付を拒まれた場合には法務局や金融機関での手続きができなくなります。では、その場合どのような手段を講ずる必要があるでしょうか。

この場合、印鑑証明書を交付してくれない相続人に対して、遺産分割協議書の真否確認の訴えを提起してその勝訴判決をもって相続登記を行うことができます。(昭和55年11月20日民三6726号)登記名義が被相続人のままの場合、遺産分割協議により所有権を取得した相続人は非協力共同相続人に対して「相続を原因として所有権移転登記をせよ」との勝訴判決を得てもこの判決を使って相続登記をすることができません。

なお、遺産分割協議により取得した不動産の所有権について、第三者との関係では登記をしなければ分割後に権利を取得したとする第三者に対して法定相続分を超えて権利の主張ができませんので、相続登記はなるべく早めに完了する必要があります。また、2024年頃には相続登記が義務化される動きもありますので相続により不動産を取得した方は相続登記を後回しにせずに速やかに完了するようにしてください。

※本件に類似の事例の場合、相続手続きの際には各種機関に事前に相談されることをお勧めします。